神様も人も、みんな安心して笑顔でいられますように 竹駒神社
仙台空港のある岩沼市の代表的な観光地で、地元では「竹駒さん」と愛される竹駒神社。最近では、地域活性化プロジェクトとして新たな取り組みが進められ、人と人を繋ぐ交流の場としてさらに注目を集めています。
11月のよく晴れた日。可愛らしい着物姿のお子さんを連れたご家族が七五三のお参りに行き交い、晴れやかな笑顔で記念撮影。そんなあたたかな風景に彩られた境内で、竹駒神社の村岡真太郎さんにお話を伺いました。
- 取材日
- 2025/11/06
- インタビュアー
- 海蒂(ハイジ)
竹駒神社 総務部 企画事業課長 権禰宜 村岡真太郎さん
竹駒神社が地域の人々が集う交流の場となることを目指し、地域活性化プロジェクトに取り組む。
竹駒神社について
― 歴史のある神社ながら、とてもよく整備された現代的な印象も受けますね。
竹駒神社は842年に東北の地の諸産業の発展のために建てられ、おかげさまで約1180年の歴史があります。衣食住の神様であるお稲荷様をお祀りしていますので、庶民に寄り添った神様として地域の方々に愛されています。1180年を機に近代化や境内の整備を進めて、お参りのしやすいお社になってきたかと思います。
地元に親しまれる竹駒さん
― 地元の方々とのつながりが強い印象ですね。
呼び方が「竹駒様」じゃなくて「竹駒さん」。親近感がすごく大きいです。地域の方に愛されて、1100年以上の歴史があるのかなと思っております。
竹駒神社はコロナ禍の時に門を閉めなかったんですね。大変なときこそ神様に頼る人が多いはずだから、絶対に門を閉めないで、そういう方の心のよりどころになりなさいっていう方針がありました。当時、外出するだけでも「どこに行くの」って咎められる時期もあったと思うんです。だけどそこで、「いや、神社にお参りに行くんだ」っていうと多分誰も止めないんですよね。コロナ禍の時期はお参りに来る人の数は増えました。ちょっとした心のよりどころというか、リラックスしに少し出歩いて、神社で神様に手を合わせて何事もないように、健康でありますようにとお願いして帰ってもらう。大事なときに、皆さんの心のよりどころになれるようにしていました。

平成2年の火事で、江戸時代から続いた社殿が焼けて、平成5年に新しいこの社殿ができたんですけど、3年でこれだけのものが建つというのは多分なかなかないですね。それだけ皆さんから愛していただいている。当時、お力をくださった方は胸を張って「今、竹駒さんがあるのは私達のおかげだ」と言っていただいていいと思います。そういう方のお気持ちがなければ、今のお社はないですし、場合によってはまだできてなかったかもしれません。本当に、今神社があるのは、そういったたくさんの方のお気持ちのおかげですから、それを忘れないで、日々お勤めしなければいけないと思っています。
竹駒神社の最近の変化について
― 地域活性化プロジェクトのきっかけは?
コロナ禍が一番大きいと思います。コロナ禍で人と人との繋がりがすごく希薄になったとき、宮司さんが「それじゃいかん」と。元々、社会っていう字は「お社で会う」と書いて社会ですから、神社が皆さんの交流の場になってほしいと、人と人との繋がりを活性化させるプロジェクトが始動しました。
中でも夏詣は、風鈴で飾られた20mほどの参道が圧巻で、おかげさまで今年で4年目を迎えました。以前は夏なんか本当に閑散としていたんですが、夏詣をきっかけに多くの方がお参りに来てくれるようになりました。8月の夜間参拝も、昼間とはまた違った雰囲気のお参りにたくさんの方が来てくださいました。ここ最近は、家族連れや若い方のお参りがすごく増えましたね。
神社とのつながりを作る
神社って若いときはあまり関わりがなくて、1年に1回初詣にお参りに来れば終わりみたいな感じなんですね。生まれて、七五三が終わるともう関わることは当分なくて、ご結婚された後、赤ちゃんを授かったときに安産祈願からまた始まるんですね。それまでの間、今は厄年に厄払いをする人も少ないと言いますから、若い人が神社に関わることが少なくなっている。そこで、夏詣とか、若い人にお参りに来ていただけるようなきっかけ作りをいたしました。
― 狐の絵馬やお守りなどがSNSで話題になっていますね。
狐の絵馬なども、若い人に神社との関わりを持って欲しいということで始めました。竹駒神社はお稲荷さんなんですけど、お稲荷さん色が強くなかったんですね。地方とか京都のお稲荷さんは、赤い御社、赤い参道ですごく赤が強調されていますが、ここは赤の要素がそんなにない。狐がちょっとあるぐらいだったので、そこから狐を絵馬とか、風鈴の絵柄やお守りにしたりして、お稲荷さんの色を強くしてみました。昔は「竹駒神社って何のお社?」って言われたんですけども、最近はお稲荷さんっていうのも定着してきたのかなと思います。
竹駒の杜 CAFÉ 一粒万倍について
おかげさまで、去年の年末の開業からたくさんの方にご利用いただいています。衣食住の神様なので、お参りして、境内の中でゆっくり食べ物を召し上がっていただくというのはすごく特別なことだと思います。メニューに関しても、シーズンごとにカフェの方と相談したり、参拝される方からの「こういうものがあったらもっと嬉しい」といったご希望も参考にしていますね。

― お子様向けのメニューはご家族連れには嬉しいですね。
やっぱり子供の時期に神社と関わってないと、大人になっても神社には関わらないですよね。子供の頃、竹駒神社に連れて行かれてよく分からないけどお参りして、でも何か美味しいものを食べて帰ってきたなって。そういうイメージがすごく強烈に残っていると、大人になって自分が親になったときに、楽しかったからまた連れて行きたいなって、繋がりますよね。神社に足を向けるきっかけ作りとしても、子供さんのお参りはすごく大事にしたいと思っています。
外国人の参拝について
― とある神社では外国人の参拝マナーが問題になっています。外国人の対応はやはり難しいですか?
難しくはないと思うんですよね。日本人の感覚が難しいんじゃないですかね。日本人が大事にするマナーは空気みたいな、肌感っていうんですかね、明文化されているわけじゃない。でも外国の方は明文化してちゃんと教えて欲しいというのがある。日本人は遠慮がちですが、そこをうまく伝えなきゃいけないでしょうし、曖昧にしなければお互いにいい関係が築けるのかなと思います。
(参拝客の問題行動で)何かが物理的に消えたとしても、そこに神様はずっとおられますし、この国自体が神様がお見えになった神様の住まう場所なので、なくなることはないんですね。であるならば、そういうこともちゃんとお伝えしつつ、理解していただいて、一緒に守っていただければなと思いますね。
日本の神様ってピラミッド的な頂点にいるわけじゃなくて、円の真ん中にいて、みんなが手を繋いでいるような状態なんですね。上から押し付けるんじゃなくて、すぐそばにいて守ってくれたりとか、ときには悪いことしたらさわりがあったりしますけど、日本人にとっては本当に身近な存在。外国の方のキリスト教とかイスラム教のような絶対的な神様ではないんです。
自分の中にある悩みとか願いをかなえてほしいというのではなく、聞いてもらう。神様に言ったことによって安心して次の一歩を踏み出すとか、踏ん張れるとかそういうことじゃないですかね。言ったことによって本人が安心できる存在が日本の神様だったり仏様なのかなと思います。宗教は外から教えられるものですけど、日本の神様への信仰は自分が内側から動いて信じるようなものだと思います。何かあったら報告っていうのも神様に対するレスポンス的なもので、何事もなかったから「ありがとう」って言う。親近感、フレンドリー、同じ目線。それぐらいのものかなと思いますね。
― 旅行客に、どんな思い出を残してほしいですか?
旅行に来られて、日本で安全に事故や怪我なく旅行できたのは、多分それぞれの土地の神様に守ってもらっているからだと思います。厚かましいかもしれませんけど、うちの稲荷の神様を通して、この旅の安全を感謝して、また来た時はぜひお願いしますみたいな感じのご挨拶をしていただければと思います。
御朱印を求める方にお願いしたいのが、数ではなくて一つひとつの神様とのご縁を大事にしてほしいということです。その神社はどういう神様が祀られて、どんな歴史があるのか。それも知っていると、よりそのご朱印や神社に対する思いも変わってくると思いますので、そこまで掘り下げて集めていただければと思います。
来年の午年に向けて
旧暦の2月の初午の日に稲荷の神様が伏見に降り立ったのが由緒なので、全てのお稲荷さんの神社は午年に関わりがあるんですが、竹駒神社は「竹駒」に馬の字が入っていますし、馬事博物館のところに昔から馬市があったので、歴史的にも馬との関わりがある神社です。
特に来年の午年には、創建者である小野篁(おののたかむら)公、伏見の社から稲荷の御霊をいただいてこの地に祀った方ですが、この篁公が関西では結構知られている方なんですけど、あまり東北の方で知られていないので、篁公のPRもしつつ、ムーブメントみたいなものを起こせればと、篁公にかかわる歌舞伎や神楽なども計画しております。

竹駒神社の将来について
― 将来の理想、どんな神社でありたいと思われますか?
家族連れがたくさんお参りにきて、子供の声がいつも聞こえるような賑やかなお社。もし神様が見たら、笑顔になるようなお社になってほしいです。日本人だけでなく海外の方にも、来てよかったね、また来たいねって思っていただけるようなお社にしていきたいと思います。
将来、神社がなくならないように、未来永劫全ての神社が残って、いつまでも八百万の神様たちが安心して、そしてその町に住む人たちが安心して笑顔でいられるようにするのが我々の務めでもありますし、そうありたいと思っております。
― 神社ってもっと気軽に来ていい場所なんですね。
衣食住の神様は一番お付き合いしやすい神様ですので、気軽に来て、手を合わせていただければと思います。ちょっと悩んだら来てお参りして、カフェに寄ってコーヒーを飲んだら心がすっきりしたっていうだけでも、我々もすごくありがたいですし、ご縁を活かして皆さんの生活がよりよいものになればと思っております。
ライター: チエッテ
名取市出身、岩沼市在住。地域密着型ながら、記事を書かせてもらうたびにもっと地元が好きになるという幸せに感謝です。